救急部初期臨床プログラム１． 研修の目的
生命及び機能的予後に係わる、緊急を要する病態や疾病、外傷に対して、適切な対応をするための知識や技術を修得する。
２． 研修の目標
1） 救急患者に対する適切な対応と基本的手技を修得する。
2） 救急患者に必要な検査法を修得し、結果を評価できる。
3） 主訴や症状から救急疾患の鑑別診断を行える。
4） 急性の疾患・病態に対する初期治療を修得する。
5） 緊急を要する症状・病態に対する初期対応を修得する。
6） 災害医療を理解し、自己の役割を把握できる。
7） プレホスピタル・ケアを理解し、医師の役割を把握できる。
３． 目標達成のための具体的項目
1） 救急患者に対する適切な対応と基本的手技を修得する。
① 発症前後の状況を把握し、説明できる。
② バイタルサイン（意識レベル、血圧、脈拍、呼吸）をとり、尿量がチェックできる。
③ 重症度と緊急度を判断し、関連診療科へのコンサルテーションや他施設への移送ができる。
④ 注射法（皮内、皮下、筋肉、点滴、静脈確保）を実施できる。
⑤ 採血法（静脈血、動脈血）を実施できる。
⑥ 気道確保と人工呼吸を実施できる。
⑦ 気管挿管を実施できる。
⑧ 心マッサージと除細動を実施できる。
⑨ 圧迫止血法及び包帯法を実施できる。
⑩ 導尿法を実施できる。
⑪ 胃管の挿入と管理ができる。
⑫ 創傷処置とガーゼ交換を実施できる。
⑬ 局所麻酔法を実施できる。
⑭ 簡単な切開・排膿を実施できる。
⑮ 皮膚縫合法を実施できる。
⑯ 軽度の外傷・熱傷の処置を実施できる。
⑰ 卒後臨床研修センターが主催する救急救命医療講習会に参加し、ＡＣＬＳを修得する。一次救命処置（BLS）の指導ができる。
2） 救急患者に必要な検査法を修得し、結果を評価できる。
① 緊急検査（一般尿検査、血算・白血球分画、血液生化学的検査、動脈血ガス分析）を実施し、結果を解釈できる。
② 心電図を判読できる。
③ 血液型判定・交差適合試験を実施できる。
④ 胸部・腹部単純X線を読影できる。
⑤ 超音波検査を実施し、結果を解釈できる。
⑥ X線CTを読影できる。
3） 主訴や症状から救急疾患の鑑別診断を行える。
① 発熱
② 頭痛
③ めまい
④ 胸痛
⑤ 動悸
⑥ 鼻出血
⑦ 呼吸困難
⑧ 咳・痰
⑨ 腹痛
⑩ 便通異常（下痢、便秘）
⑪ 腰痛
⑫ 四肢のしびれ
4） 急性の疾患・病態に対する初期治療を修得する。
① 蕁麻疹
② 骨折及び関節の脱臼・亜脱臼・捻挫・靱帯損傷
③ 呼吸器感染症（急性上気道炎、気管支炎、肺炎、インフルエンザ）
④ 気管支喘息
⑤ 過換気症候群
⑥ アナフィラキシー
⑦ 尿路結石、尿路感染症
5） 緊急を要する症状・病態に対する初期対応を修得する。
① 肺停止
② ショック
③ 意識障害
④ 脳血管障害
⑤ 急性腹症
⑥ 外傷
⑦ 急性中毒
⑧ 熱傷
6） 災害医療を理解し、自己の役割を把握できる。
本院（宮崎県の基幹災害医療センター）が主催する集団災害訓練を通じて、トリアージ法を修得する。
7） プレホスピタル・ケアを理解し、医師の役割を把握できる。
① ドクターカーや消防防災ヘリ・自衛隊のヘリで救急現場へ出動し、現場における適切な 対応を修得する。
② 巡視船のヘリを使った洋上救急を理解し、洋上における救急対応を修得する。
